中央線で止まり木を探して~はじめに~
わたしは1998年、シカゴの大学院を終えてすぐに、日本へやってきました。わたしと妻は、それからずっと中央線沿線に住んでいます。
中央線は、世界で最も混む電車の一つで、その明るいオレンジ色の電車は、四谷にあるわたしの大学から、東京の混雑の中心部を蛇のように通り抜け、そして、車窓からの風景はだんだんと郊外の様子に変化していきます。
わさわさと活気あふれる中野、ヒップスターの高円寺、家族的で親しみやすいジャズの街阿佐ヶ谷、わたしはここらの街に数年住んで、そして、娘が生まれました。
現在の住まいである西荻は、ちょっとしたボヘミアン達の小さな町です。賑やかなベットタウン荻窪と、「みんなが住みたい」吉祥寺に挟まれています。わたしは、多くの人々と同じように、西荻にたどり着きました。有名で人気のある吉祥寺に住み家を見つけることは可能であったのに。
この場所は一体なんなのでしょうか。
日本で人気の雑誌は、東京都杉並区で、他の地域の日本人が最も知りたがっている地域だ、と西荻窪を評しています。これは奇妙な要望です。
西荻窪は、文字通り、西の荻窪を意味します。場所としては、歴史的な個性も、非常に特別な重要性もある訳ではありません。西荻窪駅は週末、中央線もす通りします。
西荻は、その隙間的な位置づけにもかかわらず、伝統と革新の両方を持った場所として、評価が上がり続けています。
昔ながらのお祭り、イベント、アンティーク、芸術家、そして小説家や漫画家、小粒で素敵な食堂と、熟練の職人たちが作り出すモノ達。
ほとんどの場合、この評価は、職人達、小さな起業家達、そして地域の世話人達の活動といった「人間的規模」で作られています。そう、ますます巨大化していく、中央線の著名な都市のコミュニティーにある大規模な商業的な「組織化した規模」とは対照的にです。これはイメージです。わたしは真実はどうなのかを知りたいのです。
西荻は、わたしにとって、単純に、「住み家」とするのにいい場所なのです。
このブログは、「いい場所」という謎めいた考え方と、ここを「いい場所」にしている人々を記録することを目的としています。
このブログは、ガイドであり、そして、「身近にある社会学」の一つを意味しているのです。(ファーラー, 6月5日2015年))